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 いくつかの相談を受けたり、自分の交通事故経験から感じたことは「保険会社の人間が事件解決に役立っているのか?」ということです。
 
 交通事故相談室に寄せられる相談の多くは、情報不足を原因だと思われる不安を訴えるものです。そして、彼らが必要とする情報の多くは、保険会社の人間が答えるべきものなのです。しかし、保険会社の人間は、当事者の質問を無視したり、いい加減に答えたり、嘘までつくことがあります。
 

 なぜ、保険会社の人間は、このようなことをするのでしょう?……モラルハザード?それも答えの1つでしょう。ですが、一番の理由は、保険会社の人間は、保険会社の味方だということです。保険会社の損害調査員は、どれだけ保険金を値切ることができたかによって評価されています。これでは、不満を持った被害者が加害者に直接、文句を言いに行きます。保険会社が示談交渉を代行してくれるはずが、加害者も巻き込まれることになり、しかも、保険会社の人間はイチイチ加害者のカバーをしません(なぜなら、自分の評価には関係ないところだからです)。

 

 これを防ぐために有効な手段を1つ紹介します。これは、交通事故紛争処理センターなどで行われていることですが、事件解決後、保険会社は当事者双方に対してアンケート調査を行い、事件を担当した損害調査員が適切な対応をしたか、公正な査定を行ったか、調べるというものです。このアンケート結果も評価の対象になれば、保険会社の人間の対応も、少しはサービスらしくなるでしょう。

 

 正直、一部の保険会社社員による事故に対する対応は、機械が代わりにやっても務まるものです。ハッキリと申し上げれば、人間の情らしきものがなく、何のために高い金を払って高学歴の人間を採っているのか理解できません。外資系の損害保険会社に、日本の損害保険会社は体力的にも構造的にも太刀打ちできません。日本の損保業界が生き残るためには、本当に心の通ったサービスを心がけることが必要なのです。

 

 交通事故に遭った人々の多くは、それが初めての経験です。そのため、些細なことでも不安に感じたり、悩んだりするものです。保険会社の損害調査員の方々が、彼らの気持ちを理解するよう対応すれば、もっと多くの事件が円満に解決するのではないでしょうか。

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