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 これは私の恩師の体験談です。彼が若かった頃、自動車を運転していて前を走っていた車に追突してしまったことがありました。追突された女性(被害者)はむち打ち症になってしまい、病院へ運ばれました。早速、損害保険会社に連絡した恩師。当然、被害者との示談交渉は損保の人間が行うことになります。

 

 ところが、この被害者が凄かったのです。ケガが完治した後、保険会社が示談に関して連絡しようしても電話に出ない。手紙は受け取らない(これでは配達記録も意味がない)。さらに、損保の人間が被害者宅に出向いても会わないという徹底した無視を決め込んだのです。この状況が数カ月続き、とうとう保険会社の担当者が「向こう(被害者)の言い値で構いませんから、なんとか示談にしてください」と恩師に泣き事を言いだす始末。そこで、恩師が保険会社の意向を伝えに行ったところ、あっさりと示談が成立したということです。

 

 これは、かなり極端な例ですが、保険会社に対する交渉術として、とても参考になると思いました。事件をいかに早く処理できるかが評価の対象となる損保の人間にとって、一つの事件がいつまでも片づかないのは自分の評価に響きます。

 

 被害女性が、それを知っていたかどうかは知りません。むしろ、加害者である恩師が直接謝罪に来るのを待っていたように思えます。加害者の方々は、過剰なぐらい被害者に謝罪をすることをお勧めします。なぜなら、被害者をヘソを曲げたため、加害者が厳罰に処されたり、示談がいつまでも成立しないことがあるからです。

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